システム構築支援

認証業務の「複雑さ」と「情報共有の難しさ」をクラウドシステムで解消! ~分散した情報を一元管理できる環境へ~

認証業務の「複雑さ」と「情報共有の難しさ」をクラウドシステムで解消! ~分散した情報を一元管理できる環境へ~
INDEX目次

この事例のポイント

課題・要望
  • 複雑化した従来システムを刷新し、クラウド上で業務を進められる環境にしたい
  • 担当者に集中していた情報や進捗を共有し、周囲からも状況を把握できるようにしたい
  • メールやファイルに分散した情報を一元管理し、やり取りの負担を減らしたい
提供サービス・
システム概要
  • 認証業務を支えるクラウド型業務統合システム「Baital」をスクラッチ開発
    • 建材試験センター・顧客・審査員それぞれが利用する3ポータルの構築
    • 契約・計画・審査・判定・登録・維持までの業務と、案件・審査員・帳票・顧客連絡などの情報を一元管理できる環境の構築
効果
  • クラウド化により、場所に左右されず業務を進められる環境を実現
  • 担当者以外でも案件の進捗や状況を確認でき、周囲からフォローしやすい環境に
  • メールや紙を介した作業が減り、顧客・審査員とのやり取りが効率化

インタビュイーご紹介




常務理事 認証ユニット担当(ISO審査本部、製品認証本部)
認証ユニット長/ISO審査本部長
荻原 明美様



認証ユニット ISO審査本部
マネジメントシステム認証課
課長 宮沢 郁子様



認証ユニット 企画管理課
課長代理 小林 みほ様




複雑な認証業務を支える、新たな業務基盤を構築

一般財団法人建材試験センター様は、建築材料・部材の試験・評価をはじめ、マネジメントシステムや製品の認証業務を担う機関です。ISO審査本部・製品認証本部では、顧客・審査員・事務局など多くの関係者と連携しながら、契約から審査、登録、維持・更新までの一連の業務を行っています。

これらの業務を長年オンプレミスのシステムで管理してきましたが、改修や機能追加を重ねたことでシステムが複雑化。また、担当者ごとに管理されている情報も多く、周囲から業務の進捗を把握しにくいことや、顧客・審査員とのメールや紙を介したやり取りが大きな負担となっていました。

こうした課題を改善するため、同センターの認証ユニットは認証業務を一元管理するクラウド型システム「Baital」をカサレアルとともにスクラッチ開発。導入から約1年が経過した今、業務にどのような変化があったのか、開発の過程で感じたことも含めて、担当者の皆様に率直にお話を伺いました。


複雑化した従来システムの改善と、業務の標準化を目指して

カサレアル:
Baital導入以前、顧客・審査員・事務局など多くの関係者が関わる業務の中で、具体的にどのようなお困りごとがあったのでしょうか。

宮沢様:
顧客ごとに当センターの担当者を配置し、それぞれが自分の担当する業務を管理しているのですが、Bital導入前は、業務の進捗状況など、担当者しか把握していない情報も多く、他の職員から状況が見えにくいという課題がありました。担当者個人の負担も大きかったですし、休暇などで担当者が不在になった際に業務が停滞していても、周囲が気づくまで時間がかかることもありました。

また、従来のシステムは何十年にもわたって改修や機能追加を重ねてきたため、非常に複雑になっていました。業務をよりスムーズに進めるためにも、システムを刷新したいと考えていました。

荻原様:
担当者任せになっていることで業務が停滞すると、お客様にもご迷惑をおかけしてしまう可能性があります。担当者本人でなくても状況を確認しやすくして、対応できるような仕組みにすることで、事務作業も効率化できるのではないかと考えていました。

カサレアル:
顧客や審査員など、多くの関係者とのやり取りが発生していたかと思うのですが、その点についてはいかがでしたか?

荻原様:
審査員と顧客、審査員と事務局など、多くのやり取りをメールで行っていました。
審査では扱うファイルも多いため、メールの添付容量を超えてしまって「ファイルを分けて送ってください」とお願いしたり、添付漏れがあったり、必要なファイルを確認できなかったりすることもありました。その都度メールで対応しなければならないため、かなりの負担になっていましたね。

小林様:
メールは基本的に個人同士のやり取りなので、「その人に聞かなければ分からない」という状況もありました。そうした個人間のやり取りも新しいシステム上で共有・管理できるようにすることで、担当者以外でも状況を把握できるようにしたいと考えていました。

また、従来のシステムはオンプレミスだったので、新しいシステムではクラウド化も実現したいという思いがありました。ITの最新動向など、私たちだけでは分からないこともあるので、そういった部分も相談しながら進めたいと考えていました。


「親身に相談できる」ことがカサレアルを選んだ理由

カサレアル:
弊社を知っていただいたきっかけとして、性能評価本部様でのシステム開発実績をご評価いただいたと伺っています。どのような点を評価いただき、最終的に弊社への依頼を決めていただいたのでしょうか。

荻原様:
以前、当センターの性能評価本部でカサレアルさんにシステムを開発していただいた実績は役員会議などでも話を聞いていました。新しいシステムをつくるのであれば、こちらの話をしっかり聞いて、親身になって相談できる会社が良いと思っていました。性能評価本部の担当者からも「カサレアルさんは親身になって提案してくれた」と聞いていたので、それならぜひ相談してみたいと思いました。

小林様:
私は当時、性能評価本部のシステム開発に直接携わっていました。まだ具体的な開発内容が固まっていない段階でも、まずは相談に乗っていただけそうだと感じたことが大きかったですね。


分散した情報を一元管理し、業務を効率化したい

カサレアル:
新しいシステムでは、どのようなことを実現したいと考えていましたか?

宮沢様:
例えば、メールで届いたファイルをシステムに保存し、その後の操作や作業まで含めて効率化したいと考えていました。また、ISO審査員の情報とJIS審査員の情報は分散していたのですが、兼務する方もいるため情報を一元管理し、業務を効率化したいという思いがありました。


荻原様:
当センター内でも「DXを進めていかなければならない」という話が出ていました。
従来のシステムにも長年蓄積してきたデータがたくさん入っていたので、「このデータをもっと有効に使えないのか」という思いもありました。データを活用して業務を効率化する、担当者依存の状況を改善する、そういったことを実現したいと考えていました。

カサレアル:
単純に従来のシステムを新しくするだけではなく、業務の進め方そのものを改善したいという狙いもあったのですね。


対話を重ね、互いの理解を深めながら進めた開発

カサレアル:
では実際にプロジェクトを進める中で、定例会や課題管理表などを使用したカサレアルとのコミュニケーションについて、良かった点や「もう少しこうしてほしかった」という点があれば教えてください。

小林様:
定例会は月2回で、適切な頻度だったと感じています。次回定例会までの期間を、事業所内での調整や確認といった準備に充てることができました。性能評価本部では毎週定例会を行っていたので、毎週開催するという選択肢もあったかもしれませんが、月2回に限らず必要に応じて開催もしていただけたので、不足は感じませんでした。

課題管理表には文章だけでなく、表や画面のキャプチャも載せられたので便利でした。
ただ、それだけでは細かなニュアンスまで伝えにくいこともありましたね。
「ここまで書いたけれど、意図までは伝わっていなかったんだな」と感じたり、反対にカサレアルさんから質問をいただいて、「これはまだ説明していなかったね」と気づいたりする場面もありました。「いつでも質問してください」と言っていただいていたのですが、こちらとしては「こんな細かいことまで聞いていいのかな」と相談を迷うこともありました。

カサレアル(担当エンジニア):
課題管理表だけでは伝わりにくい部分については、打ち合わせの中で背景や業務の流れを確認しながら、一つひとつ認識を合わせていきました。開発当初は私たちも業務を理解するところからのスタートでしたが、やり取りを重ねる中で、少しずつ業務全体への理解を深めていきました。

カサレアル:
認証機関特有の専門用語や業務仕様のご説明は、貴社にとっても手間のかかる作業だったかと思います。弊社エンジニアとやり取りする中で印象に残っていることがあれば教えてください。

宮沢様:
業務自体が複雑ですし、業界特有の言葉も多いので、うまく表現できない部分がありました。反対に、システムについて説明していただいても、私たちは開発の専門家ではないので、一度聞いただけでは理解できないこともありました。

また、私たちにとっては当たり前すぎて、そもそも説明する必要があることに気づいていなかった用語もあります。普段使っている言葉をそのまま使ってしまい、それが同じ意味では伝わっていなかったこともありました。

荻原様:
“お互いにとっての当たり前”が、完全には一致していない部分は今でも多少あるのかもしれません。

カサレアル(担当エンジニア):
開発を進める中では、お互いに「当たり前」と思っていることが異なり、認識を合わせる難しさもありました。一方で、分からないことや気になることをその都度確認しながら進めたことで、私たちも建材試験センター様の業務への理解を深めることができました。そうしたやり取りを重ねながら、一つひとつシステムに反映していった開発だったと思います。


業務負荷を軽減し、担当者の枠を超えて情報を共有できる環境へ

カサレアル:
「Baital」は契約から登録、維持更新までを一元管理するシステムですが、この中で特に「使ってみて便利になった」と実感される工程はどこでしょうか。理由も含めて教えてください。

宮沢様: 
特に、顧客とのやり取りが楽になりました。これまでメールで行っていたファイルの送付や返信、日程調整などをシステム上で行えるようになったため、直接のやり取り自体が大きく減りました。そこにかかっていた人員を他の業務に向けられるようになったのは大きな変化です。

宮沢様: 
審査員をアサインすると、関連する情報にもリアルタイムで自動反映される点や、顧客情報を更新すると一般公開しているページにも自動反映される点は、依頼していた内容ではあったものの、実際に出来上がったものを目にして改めて良かったと感じました。

カサレアル:
想定していなかった良い効果はありましたか?

荻原様:
顧客から提出された資料をそのままシステムに載せて保存できるようになったことで、細かな作業が減り、業務効率化につながりました。それに加えて、担当者が自分の担当案件だけではなく、他の担当者の業務にも自然に目を向けられるようになったことです。以前から「自分の担当だけではなく、業務全体を見てほしい」と思っていたのですが、なかなかできていませんでした。Baitalでは他の担当者の業務や、審査員のアサイン状況なども確認しやすいので、自然と周囲の業務を見るようになりました。これは導入前には想定していなかった効果です。

また、テレワークが中心になった中で、従来のように紙を前提としていると仕事が進めにくい場面もあります。場所に左右されず、どこでも仕事ができることも良かったと思っています。

カサレアル:
「Baital」の利用を開始されてから約1年が経過しましたが、日々の審査業務で利用されている審査員の方やご担当者様から、どのような声が上がっていますか。

宮沢様: 
複数のISO規格を同時に審査する統合審査では、従来は顧客側で複数回申請していただく必要がありましたが、Baitalでは一度の申請で済むようになり、顧客の声はまだ届いていませんが、申請の手続きをする担当者からは喜びの声があがっています。また、審査員側からは、自分の資格や過去の審査実績を確認できるようになった点も好評です。審査員が使用する審査のガイドライン等の資料についても、以前は共有用のWebサイトを別途用意していましたが、現在はBaital上に掲載できるようになりました。複数のサイトを行き来する必要がなくなり、Baital上で必要な情報を確認できるようになったことも大きな変化です。

カサレアル:
運用してみて初めて見えてきた部分もありましたか?

宮沢様:
はい、実際に使ってみて初めて分かったことも多かったですし、事前に要件として織り込むべきだったことを、十分にお伝えできていなかった部分もありました。運用が始まってから「ここも必要だった」と気づき、慌ててカサレアルさんに相談したこともあります。これで完成ということではなく、これからもブラッシュアップし、必要な機能を組み込みながら、より良いシステムにしていきたいと思っています。


マニュアルを活用しながら、新しいシステムを着実に浸透

カサレアル:
Baitalの導入によって業務プロセスが大幅に変わった部分もあったと思います。事業所内・顧客・審査員という関係者全体に浸透させるフェーズは、どのように進められたのでしょうか。

宮沢様:
長年従来のシステムを使っていたので、どうしても以前のやり方に慣れている部分はありましたね。

荻原様:
新しいシステムについて説明する難しさはありましたが、当センターでも、顧客向けと審査員向けにマニュアルを作成して配布しました。また、カサレアルさんにも「この画面が出たら次はこう操作する」といった説明をしていただきましたので、内部の理解に役立ちました。そのおかげもあって、思っていたより早く浸透したと思います。

一方で、新しいシステムの操作に慣れるまで時間がかかる方もいらっしゃいます。また、顧客の中には現在もFAXやレターパックなどを利用される方もいらっしゃいます。すべてが完全に浸透したわけではないので、ここは今後も継続して取り組んでいきたいと思っています。


さらなる業務効率化と、蓄積データの今後を見据えて

カサレアル:
現在も運用・保守や機能拡張をご依頼いただいています。今後、Baitalやカサレアルに期待されることを教えてください。

荻原様:
現在の機能についても、審査員と顧客との連携をさらに効率化していきたいと考えており、別途改善要望をお伝えしているところです。また、これまで何十年にもわたって蓄積してきた過去データがあります。今後、それらをどのような形で保管していくのが良いのかについても検討しているところです。

開発を通して、私たちの業務フローを一番よく理解していただいているのがカサレアルさんだと思っています。いろいろな方法があると思うので、その点も今後相談しながら進めていきたいですね。


「まず話してみること」が、より良いシステムにつながる

カサレアル:
最後に、同じように複雑な業務フローを持ち、スクラッチ開発や長期的なシステム運用のパートナーを検討している企業・団体の方へ、メッセージをお願いします。

宮沢様:
私たちは当初、とにかく課題を早く解決したいという思いが強くありました。そのため、「こういうことをしたい」「こういうものをつくりたい」という希望について、関連する部署同士ですべてを整理しきれないまま開発を始めてしまった部分がありました。

まず、自分たちの中で現在の業務にどのような課題があるのかを整理しておくことは必要だと思います。一方で、システムの構成や開発について、私たちは専門家ではありません。要望を伝える際に、「こんなことを言ってもできないのではないか」「うまく伝えられないのではないか」と遠慮してしまうこともあると思います。そこで不安を持ったり遠慮したりせず、まずは開発会社に相談してみることが大切です。

そうして話していく中で必要なものを取捨選択しながら、より良い方法を提案してもらえると思います。

荻原様:
私も、「最終的にどうしたいのか」という理想を伝えることが大事だと思います。
開発中にも、カサレアルのエンジニアの方から「最終的にはどうしたいですか」と聞いていただきました。私たちとしては、「ここを変えたら別の部分に影響が出るのではないか」と考えてしまい、伝えづらいこともありました。でも、細かな仕様をすべて自分たちで考えるのではなく、「全体としてこういうふうにしたい」という理想を伝えることで、エンジニアの方が意図を汲み取ってくれると思います。ですから、まずは自分たちが目指している姿を伝えてみると良いと思います。

カサレアル:
ありがとうございます。Baitalの開発では、建材試験センター様から業務について教えていただきながら、対話を重ねて一つひとつ形にしてきました。今後も運用を通して見えてきた課題を共有いただきながら、より業務に合ったシステムへと一緒に育てていければと思います。