DXに対応できる技術者とは?

内製で生まれた取り組みをカサレアルと強化促進

大手SIerであり、「働きがいのある会社」でも有名なSCSKとカサレアルは、DXの普及・拡大に伴い求められる、デジタル化に対応する技術スキルの習得を目指して、プロトタイプ開発ワークショップを開催しました。

プロトタイプ開発ワークショップは、従来ある受け身の研修とは違い、全27日間の日程のうち、インプットが5日間、アウトプットが22日間。コンセプト設定、技術構成から開発、振り返りに至るまで全てチームで担うという特異な研修です。

担当者が「研修ではなくプロジェクトになるよう設計した」と語り、参加者も「この研修はおもしろい」と語るプロトタイプ開発ワークショップ。このプロジェクトが生まれた経緯や、背景にある想い、そして本プロジェクトに対するご感想を企画者である寺崎さん、本プロジェクトを管轄した酒井さんに伺いました。

プロトタイプ開発ワークショップ 担当者

R&Dセンター 技術企画部
第一課
寺崎 正志 さん
人材開発グループ 人材開発部
専門能力開発課
酒井 豊 さん

DXの普及・拡大に向けた人材育成プロジェクトを指導 ー 内製では限界に

世間一般にDXが叫ばれるようになり、昨今ではあらゆる産業において変革が求められています。特にIT業界においては、事業環境の変化に迅速に対応できるアプリケーションやシステムの実現への需要が高まっています。SCSKでは、全社で技術課題、技術戦略の検討を行う委員会を設置されており、このような事業環境の変化にいち早く対応できる取り組みを進めていました。

しかしながらSCSKでも、世の中のニーズの変化、ニーズの変化に伴う開発スタイルの変化、このような変化に迅速に反応し、適応できる人材の確保・育成、そしてそのノウハウの蓄積をどう実現できるか、というところに課題をお持ちでした。この課題を解決するため、SCSKは全社委員会の中でプロトタイピングワーキンググループ(以下、WG)を設置し、解決策の模索に向けて始動しました。


【SCSKのWG活動概要】

 ▼目的

  DXの普及・拡大に伴い求められる、デジタル化に対応する開発技術スキルの習得


 ▼内容

  ・基本的なデジタル技術の習得(クラウドネイティブ、モバイル、AI/IoT、UI/UX、開発環境)

  ・プロトタイピング手法に関する知識・スキルの獲得

  ・プロトタイプ開発の実践


 ▼具体策

  プロトタイプ開発ワークショップの実施

   1. 「技術習得」:UI/UX、アジャイル開発手法、アプリ開発スキルに関する研修(それぞれ外部機関での研修やe-learning)の実施

   2. 「プロトタイプ開発」:スクラムを用いた6週間のプロトタイプ開発(内製で企画・運営)の実践


 ▼主幹

  R&Dセンター 技術企画部 第一課


今回カサレアルと開催したプロトタイプ開発ワークショップの企画者である寺崎さんは、R&Dセンター技術企画部に所属し、全社的な技術施策の企画・推進や、技術戦略委員会およびWGの運営などをご担当されていました。寺崎さんはWGにおけるプロトタイプ開発ワークショップを2クールに渡り企画・運営し、両回とも成功裏に収めました。

変化に迅速に反応し、適応できる人材の確保・育成、ノウハウの蓄積を実現するための足掛かりとして始めたWG活動は、パイロット的に実施した1、2クールの成果が経営会議にて「有効」と認められ、全社研修化という決定がなされました。通常、全社研修として実施される研修は人材開発部+研修ベンダーという体制によって運営されるため、対象者の拡大や全社での安定的な運営も見据え、全社教育を統括する人材開発部に主幹を移すこととなりました。今回は移管直後であったため、R&Dセンターが走り出しをサポートし、徐々に手離れしていく想定で研修ベンダーの選定が始まったのです。

では、どのような条件で研修ベンダーを選定するべきか?寺崎さんは、「技術習得」で必要な技術を学ぶことに加え、まだ技術が完全に身に着いていない状態で「プロトタイプ開発」を始めること、さらにその開発はスクラムを用いたアジャイル開発手法で行うこと。全社教育としてプロトタイプ開発ワークショップを展開していく上では、充実した技術サポートとプロトタイプ開発の指揮を任せられることが必要である、と考えられました。

Androidアプリ開発技術 + プロトタイピング = カサレアル?

寺崎さんはプロトタイプ開発に対応できる人物像として、「サービスの企画段階から参画し、利用者に期待や要求を確認しつつ、求められるアプリを簡易的に実現できるエンジニア」を描いていました。請負システムや自社製品の開発・保守の下流工程を担当している社員に、アプリ開発技術、UI/UX、デザイン思考、アジャイル開発手法など、モダンな技術や考え方を1ヶ月かけて経験してもらう。Webアプリやスマホアプリをユーザー視点で考える。クラウドサービスやAPIを利用して、開発手法はアジャイルで。他のチームやプロダクトオーナーからフィードバックももらいながら、すばやく改善を繰り返す ー これを実現するために、システム構築や開発支援の事業も柱として持ち、多種多様な技術研修を展開するカサレアルを選んでくださいました。

寺崎さんは、「まずはアプリ開発スキル。過去2クールはe-learningで学習させていたため、特にAndroidアプリケーション開発に必要なスキルを身に着けられる研修を求めていた」と言います。

プロトタイプ開発ではOSSやWeb APIの利用を想定していたので、そこを伸ばしてくれる研修ベンダーを探していました。カサレアルを見つけて研修カリキュラムを見てみると、研修で使うAPI名まで具体的に書いてあってびっくりしました。カサレアルしかないと思いましたね。

プロトタイピングについても、カサレアルなら一緒にやってくれそうだと思ったんです。カサレアルは研修事業だけではなく、システム開発事業も持っているので、プロジェクトマネジメントの観点からもサポートしてくれるのではないかと。

寺崎さん

カサレアル営業担当の小林も、ご依頼いただいたときのことを振り返ります。

小林

最初はこの案件を引き受ける”リスク”は高いと思っていました。「そこまでやりきれないかも…期待に応えられないかも…そのあと続かないかも…」みたいな声も社内にあって、実は1度お断りしようとしていたんです。

でも、カサレアルの”リスク”を正直にお伝えしたら、寺崎さんの上司である嶋田さんが、「これをカサレアル側でもトライアルとして捉えてもらって、SCSKを実験台にしてもらえませんか?一緒にどんどんブラッシュアップしていけば、いい形になるんじゃないでしょうか?」と言ってもらえて奮い立ちました。

「この案件やらなきゃカサレアルはダメだ!ただの研修ベンダーと変わらないじゃないか!」って。

カサレアルから、「僕らも手探りだけど是非一緒にやりましょう」と言ってもらえたのがよかったです。エラそうに上から「技術を教えてやる!」というのではなく、受講者と一緒の目線に立ってもらえる感じがして。

寺崎さん

かくしてSCSKとカサレアルは、プロトタイプ開発ワークショップを一緒に作り上げることとなりました。

カサレアルの提案

SCSKが過去2クールパイロットで実施されたプロトタイプ開発ワークショップを踏襲する形で、カサレアルは「技術習得」のうち、アプリ開発スキルに関する研修および 「プロトタイプ開発」の全工程を担当しました。

前提知識の習得だけでなく、プロトタイプ開発の進め方、”ニューノーマル時代のリモートワークを助けるオンラインコミュニケーションアプリ”というテーマ、PBL(プロダクトバックログ。プロトタイプ開発ワークショップにおいては、ユーザーがしたいこと、その理由などのストーリーをまとめたリスト)の作り方などをすり合わせました。


▼プロトタイプ開発ワークショップ

 1. 「技術習得」:アプリ開発スキルに関する研修(KotlinによるAndroidアプリ開発研修)の実施

   ※UI/UX、アジャイル開発手法に関する研修ついてはカサレアル担当外

 2. 「プロトタイプ開発」:スクラムを用いた4週間のプロトタイプ開発の実践

   テーマ:ニューノーマル時代のリモートワークを助けるオンラインコミュニケーションアプリ

▼主幹

 運営:人材開発グループ 人材開発部 専門能力開発課


「技術習得」では、スマホアプリの開発、またWebAPIの利用を前提として、カサレアルがオープン研修コースでも提供している『KotlinによるAndroid開発応用コース』を実施することとしました。

「プロトタイプ開発」では、アジャイル開発のフレームワークであるスクラムを採用したことが特徴的です。スクラムでは計画・開発・レビュー・振り返りを1サイクルとして、これを繰り返してプロダクトを育てていきます。さらにプロダクトオーナーと呼ばれる、プロダクトのゴールを設定してPBLの優先順位に責任を持つ人を立てました。


プロダクトオーナーの役割はカサレアル講師の青木が担い、キックオフ時にいくつか実現したい要望を提示しました。”ニューノーマル時代のリモートワークを助けるオンラインコミュニケーションアプリ”に対して、「リモートワーク中は、限られたメンバーとのコミュニケーションばかりになる。休憩室でのコミュニケーションのような、チームやプロジェクトの垣根を超えた自由な意見交換がしたい。」といった要望です。11名の受講者は2チームに分かれ、各チームはプロダクトオーナーの要望をPBLに落とし込み、成果物として具現化するための技術構成を検討します。

プロダクトのイメージが固まってきたら、この1週間で何を、どこまで、どうやって実現するか、という計画を立てます。あとは計画に沿って開発を進め、日々進捗や問題点を共有しながらアプリケーションを作り上げていきます。

1週間の開発期間の終わりにはレビューの場を設け、各チームはそこで成果物を披露し、フィードバックし合います。受けたフィードバックとチーム内での振り返りを基に、PBLの見直しと、次の1週間の作業計画を行います。

このプロトタイプ開発を繰り返していく上で、具現化しようとしているコンセプトは正しいか?を確認するために重要なのがフィードバックです。フィードバックを得るには披露できる成果物が必須であるため、「レビューまでに動くモノを必ず作る」ということがプロトタイプ開発ワークショップにおける唯一の制約となりました。

社内でイチからこのプロトタイプ開発ワークショップを企画し、自ら運営もしてきた寺崎さんには、本プロジェクトに対して強い思い入れがありました。カサレアルの提案はどうだったのでしょうか?

期待通りのものが出てくれました。営業担当の小林さん、講師の青木さんも話しやすくて。このプロトタイプ開発ワークショップに対する私の想いを汲み取って(提案を)作ってくれました。業界的にはSIerの売り上げが減ってきて、DXに着手しないとヤバい!というところから、技術戦略委員会が発端となって始まりました。これを社内に広げたかったんです。カサレアルはそこに共感してくれました。

寺崎さん

実施カリキュラム

2020/9/10(木)〜24(木):技術習得(5日間)

UI設計基礎 2日間 ※カサレアル担当外
SCRUM BOOTCAMP 1日間 ※カサレアル担当外

KotlinによるAndroid開発研修

(カスタムメイド研修)

2日間

9:30-17:00

・Kotlinの文法

・プロジェクトの新規作成方法

・画面の作成

・イベントリスナーの処理

・画面遷移

・画面遷移時のパラメータの受け渡し


9:30-17:00

・Activity終了時の戻り値

・RecyclerViewによる一覧表示

・AsyncTaskによる非同期処理

・ライブラリを使ったHTTP通信

・ライブラリを使ったJSON解析

・カメラで撮影した画像のアップロード

10/1(木)〜10/30(金):開発演習(22日間)

アプリ企画・準備(PBL開発)

2日間

09:30-11:00 キックオフ、概要説明

11:00-12:00 プロダクトバックログ開発

13:00-17:30 プロダクトバックログ開発

17:30-18:00 各チーム進捗共有


09:30-11:00 プロダクトバックログ開発(継続)

11:00-12:00 各チーム発表

13:00-14:00 プロトタイプ開発詳細説明

14:00-18:00 Android技術補足説明、技術検証

スクラムによる開発

1週間スプリント × 4週

09:30-12:00 開発 ※月曜は計画ミーティングを含む

月〜木

13:00-17:00 開発

17:00-18:00 事務作業、その他

13:00-17:00 レビュー

       振り返り

17:00-18:00 ノウハウ蓄積

本プロトタイプ開発ワークショップを管轄していた人材開発部の酒井さんはこう言います。

このプロトタイプ開発ワークショップの受講者募集は、各部門にいる育成担当者に依頼して、指名式で行いました。”これからの技術”が核になるので、今までにないカタチで進んでいく上で、自分が中心になってその業務ができるような人、それを周りに広げていけるような人、周りをひっぱっていけるような人、そういう人選を各本部に依頼しました。もともと全日程が1ヶ月以上あることに加えて、その前にも技術習得の研修もあったので、ある部門では受講者を集めきれずに断念せざるをえませんでしたし、受講者を集めてはみたものの、業務都合で参加できなくなり、他の社員に代わりに参加してもらうということもありました。それでも集まった人はモチベーションが高い人が多かったですね。入社1年目の社員も2名いて、プロトタイプ開発ワークショップ初日から雰囲気も良かったです。

酒井さん

実施中の様子 ー 空気づくりと即興講義でチームをサポート

いよいよ始まったSCSKとカサレアルのプロトタイプ開発ワークショップですが、コロナの影響もあり、急遽オンライン開催に切り換えるなどの困難がありました。受講者同士は初対面な上に、直接のコミュニケーションも制限される中、チームで協力して迅速にプロトタイプ開発を進めていくスキルが求められました。

プロトタイプ開発ワークショップ中の受講者の様子はどうだったのでしょうか?寺崎さんはこう振り返ります。

空気がカタかったんですよねぇ・・・今回から全社研修という位置づけで開催されたことが一番大きいと思うのですが、参加者の皆さん全員、過去に受けたお固めな研修のイメージで参加されているので…。加えて、コロナの影響で急遽オンラインでの実施になったことも影響しているかもしれません。

寺崎さん

初対面でオンラインだと打ち解けるのもなかなか難しいですよね。どうやって乗り越えたのでしょうか?

このワークショップは、これまでに受講した研修や普段の業務とは全然違うものだ、というメッセージを徹底して伝えました。細かい部分だとSlack(チャットツール)上でも「~様」といったかしこまった書き方をなくし、スプリントごとの振返りでは、率先して改善点を提案する姿を見せることで、このワークショップは自分たちで考え主体性を持って進めていく取組みだ、という雰囲気を作っていきました。

寺崎さん

「技術習得」が始まると、想定以上に受講者の経験差、スキル差が顕在化しました。カサレアルは受講者の様子を見て急遽レクチャーを追加するなど、限られた時間の中で臨機応変に対応しました。

青木

事前には『KotlinによるAndroidアプリ開発応用』を希望されていたのですが、実際に講義を開始しようすると、受講者の前提知識・スキルにバラつきがあることがわかりました。 そこで、Androidアプリ開発研修の担当であり、本プロジェクトの技術サポート担当である直井が、同カテゴリの入門コースから、取り急ぎ必要な内容を習得できるようにアレンジしました。また、チーム開発の構成管理に欠かせないGitについても、ほとんどの方が未経験ということが判明したので、これも即興で資料を作成してレクチャーし、チーム開発がスムーズに進むようにしました。


※前提スキル:ネットワークやセンサーなどを使わない基本的なAndroidアプリを開発できる/『KotlinによるAndroidアプリ開発入門』コースを受講済み、または同等の技術を習得していること

オンラインコミュニケーションの課題、技術のキャッチアップの課題を経て、「プロトタイプ開発」に入ります。チームの様子はどうだったのでしょうか。

青木

最初は不安な様子の人が多かったですね。週ごとの振り返りでも、プロトタイプ開発に入った第1週目は「前提知識なくてみんな大丈夫?」「わたしだけ足を引っ張ったらどうしよう」「みんな優秀そうで怖いなぁ」といった、技術スキルに対する不安が多かったです。

経験差、スキル差を埋めるのはなかなか難しいことではありますが、手持ち無沙汰になる人や、他の人に依存してしまうなどはなかったのでしょうか?

誰かに頼りきるとかはなかったですね。たとえば、普段はサーバ等の物販業務を行っている部署からの参加者がマシンラーニングを用いた機能を開発したりなど、チャレンジがすごいんですよ。さらにチームワークも良好で、よく協力し分担もして、いいコミュニケーションをとっていました。

寺崎さん
青木

ひとりでは動かずにユニット(ふたり)以上で動いていたり、1人に知識があれば、その人がみんなにレクチャーするなんてこともしていましたね。

「最初のスプリントから未達成になりそうでヒヤヒヤした」という声も出ていたので、技術をキャッチアップしながら、それをチームで動くものにするというところまで、各々がかなり頑張って取り組んでいたと思います。

各チームはそれぞれが主体的に調べ、知見を貯め、協力して技術スキルを高め合い、毎週成果を披露して成長していきました。4週間のプロトタイプ開発で、チームAは「自由なコミュニケーションのためのWebRTCアプリ」、チームBは「リモートワーク中のヒトのための雑談アプリ」を作り上げました。KotlinやGitも未経験のところから、自分たちでSkyWay、Cloud Firestore、SpeechRecognizer、Slack WebAPI、ML Kitといった技術を選定し、わからないながらも果敢に挑戦し続け、アプリ内に機能を取り入れられるまでになったのです。

プロダクト開発ワークショップを終えて

「技術習得」、「プロトタイプ開発」と、カサレアルと一緒に作り上げたプロトタイプ開発ワークショップ全27日間が無事に終了しました。酒井さん、寺崎さん、講師の青木、直井に率直な感想を聞いてみました。

このプロトタイプ開発ワークショップは、他の研修とかなり毛色が違います。普通の研修は1-2日で終わりますが、これは長期スパンで1ヶ月もあって、研修というよりもプロジェクトのようでした。今期はコロナの影響があってオンラインにもなりましたし、その辺の対応も厳しい中うまくやっていました。なかなか大変でしたね。

ただ、普通の研修よりもつながりは強かったですよ。事務局振り返りでも出したが、困難にぶちあたってもなんとかみんなで解決していくような感じがありました。

酒井さん

スクラムをベースに研修を進められることが出来たのが良かったと思います。日々のコミュニケーションやチーム改善の仕組みが、オンラインでもビシッとはまり、最終的には素晴らしいチームができました。この成果を社内に伝える場を今回は作れなかったので、今後は受講者の上長に正式にお披露目する場を作りたいし、このチームが続いていくようなコミュニティ基盤を作っていきたいと考えています。

寺崎さん
青木

ひとは説明を聞いたものより実際に手を動かした方が身に着く、というのがありますよね。我々からは知識をお伝えするかたちにはなるんですけど、このプロジェクトはあくまで開発プロジェクトで、全て彼らの実践に依るものなんです。知識を揃えるところから始まり、わたしたちとしても想定していなかったほど素晴らしいアプリをこの短期間に作り上げたのは、超びっくりでした。受講者が自分たちで調べて、試行錯誤して、知見を残して、っていう、こういうプロジェクトは、SCSKの技術スキルの底上げとか、モチベーションの向上という意味でも大変有効だったと思います!

直井

「技術習得」では、あまり複雑なアプリの開発は難しいと感じておりました。

しかし、日々の皆さんのモティベーションには驚きました。結果として、私の想定を遥かに超えるアプリが完成していました。

クラウドやAIにも果敢に挑戦しており、各々が責任感を持っていたため、作業負担が偏ることなくチームとして機能しており、とても良いプロジェクトになったと感じています。

ワークショップが終了した後に、今回の成果物と同様の機能を持ったアプリが世間でリリースされて驚きました。そのアプリは話題になるようなものでしたので、受講者が今のニーズをしっかり捉えて成果を出せていたように思います。とても意義のあるワークショップでした。

次回はキックオフとフィードバックの仕組を改善したい

プロトタイプ開発ワークショップは今後も継続的に実施予定で、既に次回の開催日程の調整と、SCSKでの募集準備を開始しています。

今後、こういう風に改善したい、発展させていきたい、といったアイデアをお伺いしました。

今後は事業部門との連携をより強めていきたいです。このワークショップではどのような技術を習得するかといった部分も時流によって移り変わっていくものだと考えています。そこに事業部門のニーズを取り込みたい、そしてフィードバックする仕組みも用意したいです。そのようにして徐々に規模も拡大していけたら、このワークショップがDXの推進にもっと寄与していける、と思います。

また、今回は「技術習得」「プロトタイプ開発」の2本立てでしたが、次回は進め方なども変更して、各研修の位置づけや意図について、より受講者の理解が進むような形にしていきたいですね。

寺崎さん

酒井さんは、全社で研修を統括する立場ならではの視点で語っていただきました。

スキルのベースがある中堅に対象を拡大したり、人数の規模も拡大していきたいですね。来期に向けてこの研修とこれに付随する研修の日程を決めていきたいのですが、研修日程を分散させて、業務に対する負荷を減らしたいとも思います。一方で、あまり分散させすぎても効果が出にくいので、そこは考慮して設計したいですね。

酒井さん

受講者からの声

受ける前は、部署や年次が違うのが不安だった。研修を通して、実際に知識を活用できなきゃいけないと感じていた。実際にやってみて経験を積めたのが良かった
ある程度の期間があってよかった。アウトプットが多くて良かった。e-learningとかより技術力身についた
短い時間で詰め込むのが一般的な研修、それに比べて手を動かす時間が多かった
半日とか数日の研修とは違った。能動的に取り組むこともできた
この研修はおもしろい。普段は部署横断でなにかを作ったり、こういう演習の経験はできない
業務に生かせるかはハテナ。ただ、自分でサービスを調べたりとかの意識がうまれた
最近自己研鑽おろそかだったが、モチベアップになった
わからないこと、できないこともとにかくやってみるというマインドが生まれた

カサレアル担当者からの声

本開発演習は、受講者のアジャイルによるチーム開発や問題解決の練習の場として、またSCSK社内での技術ノウハウ蓄積の場として非常に効果の高いものであったと認識しています。特に、ほとんど開発に携わったことのない方々も参加する中、「講師から手取り足取り教える」のではなく、それぞれが試行錯誤しながら開発そのものの進め方や技術を理解・共有していくことは、本当に活躍できるようになる、実践的な育成手法として適切だと考えます。

今回、カサレアルにて担当しましたが、研修のスペシャリストとして技術面のサポートや各チームへの働きかけ、実施ごとのブラッシュアップなど、継続して担当していきたいと考えています。

顧客プロフィール

SCSK株式会社

設立:1969(昭和44)年10月25日

資本金:21,152百万円

売上高:387,003百万円(2020年3月期 連結)

営業利益:42,326百万円(2020年3月期 連結)

従業員数:13,979名(2020年3月31日現在 連結)