
長年、メーカー企業としてモノづくりを行ってきたコニカミノルタ株式会社は、「”モノ売り”から”コト売り”へ」とソリューション型ビジネスができる企業への変革の真っ最中です。
ソリューション開発ができる人財育成の一歩として、Webプログラミングの初学者に向けたJavaScript研修をカサレアルで実施しました。
研修 担当者

目次
- ソリューションビジネスへの変革を体系化
- 「クライアントサイド」「サーバーサイド」どちらも理解した人財へ
- 「繋ぎ」を重視したカリキュラム選定
- 「コニカミノルタカレッジ」に採用してみて・・・
- 最後まで読んでくださった皆様へ
ソリューションビジネスへの変革を体系化
コニカミノルタは強化人財として「ソリューションアーキテクト/ソリューションディベロッパー」「データサイエンティスト」「AIエンジニア」等の育成を進めています。
その中で「ソリューションディベロッパー」にWebアプリケーション関連の技術を習得させるため、カサレアルへ研修の依頼をいただきました。

カサレアルへ研修の依頼をいただくまでの経緯を教えてください。
コニカミノルタは長年、メーカーとして世の中に様々な製品を提供してきた、モノづくりを得意とする企業です。
しかし10年ほど前から、「”モノ売り”から”コト売り”へ、ソリューション型のビジネスができる企業になる」ことを目指し、会社の変革が進められてきました。
変革を実現するためには、企画、開発、販売、運用という様々なビジネスフェーズで人財が変わっていく必要がありますが、私は技術人財戦略の担当として、特に「開発フェーズにおける人財をどう強化するか」という検討を進めてきました。
ソリューション開発といっても、コニカミノルタ独自の技術やデバイスを活用したうえで、差別化されたソリューションを世の中へ迅速に提供しなくてはいけません。
そのためには、「外注に頼りすぎず、ソリューション開発を内製できる体制にしないと!」と、大きく不足していたWebアプリケーションやクラウドサービスの開発人財をきちんと揃えるよう、動きはじめました。


10年ほど前から会社の方向性が変わったとのことですが、「変革するぞ!」という思いにはDXの影響もありましたか?
そうですね、会社としては“DX”というワードを意識するより以前から、「ソリューション型ビジネスを実現するためのICT人財としてどういう人財が必要なの?」という検討と実際の獲得・育成を進めてきました。
明確に外部発信し、社内にも体系として認知させたのは2019年〜2022年までの「DX2022」という中期計画です。
「ICT・AIの人財を1000名体制にしよう」と発信し、実績を積んできています。


以前から少しずつあたためてきたものなんですね。
DXの影響で力が入り、だんだん遂行スピードが上がった、という流れでしょうか?
最初は「手を付けられるところからはじめた」という感じで、「データ分析できる人がいないとだめだ」とデータサイエンティストの育成をはじめたり、「ビジネスと開発をつないでお客様の要望を求めるサービスを迅速に提供できる人が必要だ」とプロダクトオーナーの研修をはじめたりしました。
会社の変革の進みや世の中の状況変化に合わせて徐々に必要な人財を追加し、この3年くらいで一つの体系として組み立てました。


スモールスタートで進めるのは、「頭で分かっていても、なかなかはじめられない」という企業が多い印象です。
「”DX”と聞いて、大風呂敷ではじめてしまって大変なんです」というのがよく聞く悩みなので、重要視する点を見極め、できるところから進んでこられて、今体系化できているのは本当に素晴らしいと思います!
「クライアントサイド」「サーバーサイド」どちらも理解した人財へ
「人財戦略」が着々と体系化する中で、ソリューション開発の内製化に必要な人財確保へと動き出したコニカミノルタ。
ですが、昨今そういった人財は獲得競争が激しく、厳しい状況が続いています。
そこで「今いるエンジニアをリスキリングする形で確保していこう」と、エンジニア育成をする選択をしたと言います。
育成を内製化しなかった理由についてもお話しいただきました。
既に、ある程度の知識を持ったエンジニアも少数いましたが、カリキュラムを内製できるほど豊富な数はいなかったですし、Webの業界は技術の移り変わりが激しいと聞いていました。
「ここは教育トレーニングを専門とする企業にお願いするのがいい」と考え、調査をしていきました。
当初はエンジニアの中でも中級者を育てることに注力していて、演習中心のワークショップを他社にお願いして取り組んでいました。
ですが、受講するエンジニアの中でスキル差が結構ありまして。
Webプログラミングに関して未経験のエンジニアには、プログラミングをe-ラーニングで学んでもらって、それからワークショップを受ければ大丈夫かなと思っていましたが、実際はそう上手くいきませんでした。
「Webプログラミング未経験者向けの研修をしっかり揃えないと、ワークショップについていけなくなってしまう」という課題が見つかり、初学者向けの研修コースを探していて、カサレアルさんに出会いました。

2021年にカサレアルのホームページから問い合わせをいただいたのが、最初の接点となりました。
研修を提供する企業が複数ある中、カサレアルへ問い合わせた理由、そして選んだ理由をうかがいました。
我々は、Web周りのエンジニアを「クライアントサイド」「サーバーサイド」と分けた人財として育てたくない、双方とも理解したエンジニアを育てたい、というのをポイントにしているんですね。
その観点で研修会社を探した時、カサレアルさんの研修体系が「クライアントサイド」「サーバーサイド」双方を総合的に理解できるようなコースフローになっていると感じました。
そこに非常に魅力を感じてコンタクトさせていただきました。
さらにお話をうかがう中で、その点がフレームワークとしてできている、他社より突出していると思い、選ばせていただきました。


カサレアルは総合的にコースを組み立てています。
「クライアントサイド」「サーバーサイド」を切り分けて考える企業もある中で、その点を気に入っていただけたのはとても嬉しいです!
「繋ぎ」を重視したカリキュラム選定
コニカミノルタが受講したのは下記の3コースです。
研修コース | 実施日数 |
---|---|
モダンJavaScript入門 | 2日間 |
Vue.js入門 -ver.3対応- | 2日間 |
Node.js入門 -Expressを使ったWebAPI開発- | 2日間 |
問い合わせの時点でいくつかのJavaScript関連コースをピックアップしていました。
その中から「モダンJavaScript入門」「Vue.js入門」「Node.js入門」を選択した理由は何だったのでしょうか。
それぞれのJavaScriptフレームワークにどんな特徴があるのか、コースがどのように繋がっていくのかは、カサレアルさんのホームページを見るだけでは分からない部分があったので、相談させていただいたんですよね。
初学者向けとはいえ、フレームワークを理解するところまでやっていただきたいと思っていたのと、もともと「サーバーサイドはNode.jsがいいな」という思いがありました。
Vue.jsを選んだのは、中級者向けワークショップでVue.jsを使っていたのと、打ち合わせで「カサレアルのVue.jsのコースは、クライアントサイドとサーバーサイドの繋ぎまで教えている」と聞いたのが理由です。
あとはVue.jsをやるうえで「前提知識となる必須研修はなんだろう」という話になり、「モダンJavaScriptのコースはVue.jsを含むフレームワークへ繋ぐカリキュラムに適しています」と聞いて、モダンJavaScript入門を選びました。


クライアントサイド、サーバーサイドの「繋ぎ」と、ワークショップへの「繋ぎ」を重要視されていたんですね。
ちなみに、ワークショップはどんな内容なのでしょうか?
10日間ほどかけて行っているのですが、最終課題では個人でゲームアプリケーションを実装してもらい、ソースコードの提出までやってもらいます。
「クライアントサイド」「サーバーサイド」両方のプログラミングスキルがないとできないような課題になっているんです。
最終課題をやってもらう前に、カサレアルさんの研修で得た知識をより実践的に使いこなせるように、応用講義・演習を行っています。

研修受講の効果
こうしてWebプログラミング初学者向けに「モダンJavaScript入門」「Vue.js入門」「Node.js入門」が実施されました。
実施方法は全日オンラインで、Zoomミーティングを使用しました。
研修環境にAmazon WorkSpacesを使用して受講者の環境を揃えたり、やむを得ず研修への参加ができなかった方へ録画した講義内容の動画を提供したり、チャットツールでコミュニケーションがとれるようにするなど、受講者が安心して受講できるように努めました。

今回の研修運営に関してお気づきの点がございましたらお聞かせください。
Amazon WorkSpacesを使った研修にしていただき、全員が同じ条件で受講できたのが良かったです。
特に初学者は、開発環境構築でつまずいてしまうことが他の研修で多々ありました。
実際の開発では必要なスキルではありますが、教育の本質的なところから逸れてしまうというデメリットがあるので、本来の学習目的にフォーカスしていただけたのがよかったです
録画視聴は本当に大好評でした。
今回のように数日間のコースを受けたいと思っているけど、1日だけ予定が合わないために全日キャンセルしてしまう、ということが今まで他の研修でもありました。
研修はいつも開催しているわけではないので、すごくもったいないじゃないですか。
業務都合に合わせて録画もうまく利用して、きちんと欲しいタイミングでスキル習得できる、というのはとても魅力的で、他社からも要望があるんじゃないかと思います。
チャットツールでコミュニケーションがとれる環境も好評でした。
今回の研修では、受講者から活発に質問が飛び交いました。
講義中に講師の方から全て回答いただくと、講義自体が進まなくなってしまうと思うのですが、サブ講師の方がチャットで順次回答してくださる、というスタイルがすごく良かったです。


初学者の方が環境構築でつまずいてしまうとか、1日参加できなくて講義が分からなくなってしまうと、モチベーションも低下してしまいますよね。
ご好評頂けて良かったです。
その他に、実施前は不安に感じられていたことや、実施を終えて良かったと感じる点などはありますか?
当初心配していたのは、Vue.jsとNode.jsのカリキュラム内容がワークショップと一部重なっている部分があったことです。
ですが、1回受講しただけで自分のものになるわけではないので、1度カサレアルさんに教えていただいたうえで、ワークショップではつまずきやすいところに注力して教えることで、理解を深めてもらうことができました。
受講者アンケートでも「カサレアルの研修とワークショップで内容が重なっていた」という声は全くあがってきていません。
カサレアルさんの研修を受け、ワークショップで手を動かしながら学べたことが、受講者にとって結果的に良かったと思います。


開始前に不安視されていた部分が、結果良い点になって安心しました!
お話しいただいたとおり、今回ワークショップの前にカサレアルの研修を取り入れていただきましたが、以前と比べて効果に差はありましたか?
とても大きく効果に差がありました。
ワークショップもブラッシュアップはしていますが、レベルを下げることはしていません。
ですが、カサレアルさんの研修導入後、ワークショップの理解度が如実に上がっていたので、「本当に効いたな!」と正直に思っています。
そういった結果もあって2回、3回と繰り返しカサレアルさんにお世話になっています。
今はネットで調べられたり、自習できる環境って揃っていると思うんですけど、本人任せにしてしまうと難しいんだなと、カサレアルさんの研修を通して実感しました。
もともとの目的であった「初学者が中級者向けのワークショップについていけるように」という繋ぎ部分をしっかりやっていただけて良かったです。

【2021年度受講者アンケートより一部抜粋】
「コニカミノルタカレッジ」に採用してみて・・・
カサレアルの研修は、コニカミノルタの教育体制「コニカミノルタカレッジ」にコースを追加していただくことになりました。
「コニカミノルタカレッジ」は社内公募制の研修で、エンジニアでなくても技術研修が受講でき、いつでも好きな時にスキルアップができる仕組みです。

「コニカミノルタカレッジ」は“社内公募制”という特徴がありますが、カサレアルのコースに期待されることなどお聞かせください。
2022年4月から全社へオープンにしてまだ2ヶ月くらいなので※1、受講する側の希望をうまく叶えられるものになるかは1年くらいやってみないと分からないかなと思っています。
ですがオープンしてみると、全く想定していなかった部門からも応募がきている状況が見えています。
これから1年かけて、実際にどういう部門でスキル習得をしたいと思っている人がいるのか見たいですし、カサレアルさんのコースが上手くマッチするか、見ていきたいと思っています。

※1:インタビューは2022年6月下旬

想定していなかった部門から参加されているという点で、受講者自身だけではなく、技術人財戦略グループの方や、受講者の上司など、全社的な視点を持っている方からの反応はいかがですか?
マネージャー職の方から「受けて良いですか?」という問い合わせを複数回もらいました。
管理する側の立場がスキルを理解したうえで、自分の部門にスキル習得を促したいという感じで受講されている方がいます。
こういうスキル習得って、上に立つ人間が理解しないことには進まないですよね。


そう思います!
これから成長していく人だけではなく、上の立場にいる人も理解が必要だと思いますし、色んな技術に触れていくと会社全体でパワーが上がると思います。
最後まで読んでくださった皆様へ
コニカミノルタという会社が単なるメーカーから、ソリューション提供できる会社に変わっていこうとしている部分は、まだまだ知っていただけていないと思うので、まずは「変革真っ只中です!」というのを知ってほしいです。
今後、コニカミノルタが自信を持っている開発技術やデバイスを活用しつつ、その枠にとらわれないソリューション開発をしていこうと思っています。
それができる人財育成のカリキュラムや環境もどんどん拡充していますので、そこに魅力を感じていただけたら、コニカミノルタに来ていただきたいです。
また、協業もウェルカムです!自社だけでなく色んな企業の皆様と一緒に、世の中に新しいサービス・価値を生み出していけたらと思っています。

顧客プロフィール
コニカミノルタ株式会社
設立:1936年12月22日
資本金:37,519百万円
売上高:911,426百万円(2022年3月期)
社員数:39,121名(2022年3月31日現在)