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ハンズオンの時間もしっかりとあり、感覚がつかめた状態で触り始めることができ、なおかつ自分のアイデアを盛り込んで自由に触れるのは知識の習得プロセスとして適していると感じたため。
鉄道事業をはじめ、デベロッパー、eコマース、ファイナンスなど、幅広く事業展開しているJR東日本は、リアルなフィールドとデジタルの力を掛け合わせることで新たな価値の提供や業務の効率化を進めています。そのために必要不可欠なのがDX推進。IT・デジタル戦略系統(総合職)と呼ばれるIT人材を中心に、多様なデジタル人材の育成に力を入れて取り組んでいます。
2023年には、データガバナンス・生成AIの活用・アジャイル開発を拡大・加速することを目的に「DICe」という組織が設置されました。DICeのミッションは「デジタル・データの価値を最大化し、すべてのヒトに届ける」。プロフェッショナル意識やチャレンジ精神があり、オープンカルチャーであるような人材が求められています。デジタル・データ活用を迅速に推進し、組織の枠を超えた変革やデータドリブンな事業運営が可能な集団へと進化させることで、「ヒトを起点とした価値・サービスの提供」によるグループの持続的成長と社会貢献を実現することを目指しています。
DICeの設置に伴い、IT・デジタル戦略系統(総合職)を対象とした研修のご相談をカサレアルにいただき、ワークショップを2024年1月から実施いたしました。
このワークショップに関して、まずは全社的な戦略からお話をお伺いしました。
カサレアル
JR東日本はトップダウン的にDXを進めていこうとしているのではなく、全社レベルで戦略的にDX推進されている印象を受けます。DX推進への特別な教育などあるのでしょうか。
JR東日本(押谷さん)
今回のワークショップは、”DXを中心となって推進する人”という役割で置いているIT・デジタル戦略系統(総合職)の教育として貴社に依頼しましたが、レベル別に全社的な育成計画を拡充しているところです。非エンジニアからエンジニアへのリスキリングといった教育体系などはまだ弱く、OJTで頑張っているのが現状です。
JR東日本(久保田さん)
昨年のDICeの発足によって、全社的にDXを推進するための体制がより良い方向に変わっていくと思っています。
カサレアル
デベロッパー、eコマース、ファイナンスと幅広く事業を展開されているので、それぞれの事業で関連するITの要素が異なると思います。全社で共通化した教育を考えるのは難しいところがあるのではないでしょうか。
JR東日本(久保田さん)
おっしゃる通り事業は多岐にわたり、情報システムもグループで多岐にわたるため、IT人材がどうあるべきかなかなか解が見えません。どこまでスキルセットを求めるべきなのか探り探りやっています。
JR東日本(押谷さん)
ITリテラシーの全社的な底上げはまだできていません。人事部門とIT部門が連携しながら全社のデジタル人材育成に向けて戦略を立てていかないといけないと思っています。
カサレアル
先程、IT・デジタル戦略系統(総合職)に対してはDX推進に向けた育成をされていると伺いましたが、育成方針や、これまで実施されてきた施策についてお聞かせください。
JR東日本(押谷さん)
システムモダナイゼーションやDXを推進する存在になるために、職種ごとのキャリアパスの設定や研修制度の整理をしてきました。入社後の5年間は育成期間と位置付けて、キャリアの方向性を模索したり、基礎知識をしっかり身につけたりすることに重点を置いています。その取組みのひとつの例として、年次研修があり、セキュリティ、データ分析、サービスデザイン、システムアーキテクト、アプリケーション開発などをテーマに年に1回、5日程度の集合研修を実施しています。
カサレアル
育成を考えるなかで、DX推進スキル標準にあるようなスキル・リテラシーを身につけてほしい、また、DICeへの配属を希望している場合には、そこで求められるスキルやマインドについて適性がありそうか確かめられるようにしたいという想いがあり、今回ワークショップの実施を検討されたと伺っております。これについて、少し詳しくお聞かせください。
JR東日本(押谷さん)
組織としてDXを推進するために、一人ひとりがDX推進スキル標準をベースとした職種のどれか、または複数に成長することが望ましいです。また生き生きと活躍し、働きがいを感じられるように、自らの適性を把握したり、希望を持ったりするようなキャリア自律も重要であると認識しています。そのような状況のなかで、今回はソフトウェアエンジニアの一歩目を体験するということをテーマに実施しました。
●ワークショップに必要な技術領域の事前学習 ※Udemy Businessにて自己学習
●24年1月30日~3月18日(全4日程)ChatBotワークショップ
午前 | 午後 | |||
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1日目 | オリエンテーション・各チームでの計画策定 | |||
2日目 | ChatBotの実装 | |||
3日目 | ChatBotの実装 | |||
4日目 | ChatBotの実装 | 発表会準備 | 発表会 | ドキュメントまとめ |
カサレアル
ワークショップを実施する時点で、参加者様は既にChatBotで使う生成AIやサーバーレスの技術、MVP(Minimum Viable Product)の考えをお持ちでしたが、これらは日頃から何か取り組みをされているのでしょうか。
JR東日本(押谷さん)
すでにDICeで勤務している社員がいたり、アプリ開発の経験がある社員がいたりと、一部参加者は既に業務等で学ぶことができておりました。そのような方は、今回の研修でマネジメントを意識しながら他の社員に教えてくれている様子が多くみられて大変うれしく感じておりました。また、2023年度からIT・デジタル戦略系統(総合職)を対象にUdemy Businessを導入したため、新入社員であってもコツコツ学習している方もいることが研修の様子に現れたものと想像しています。
カサレアル
参加者様には、ワークショップに必要となる技術領域をUdemy Businessにて事前学習していただいてからご参加いただきました。今回の参加者様は入社して1〜5年目の方々で、特に1年目の方にとっては初めて触れる技術もあったのではないかと思いますが、Udemy Businessにて十分にキャッチアップできましたでしょうか。
JR東日本(押谷さん)
Udemy Businessでの学習は任意にしましたが、スキルに自信のない方を中心に前向きに取り組んでいただきました。視聴実績も高く、基礎学習やわからないところを補う役割として、Udemy Businessをうまく活用してくれていました。カサレアルの講師陣からは事前にオススメ講座を指定いただくなど、手厚いサポートを頂戴しました。
カサレアル
講師より、参加者-講師間で積極的なコミュニケーションがあったと、喜びの声が上がっております。久保田様、押谷様と参加者様との間のコミュニケーションも密に取られていたようで、積極的に取り組まれている姿が印象的でした。参加者様のご様子はいかがでしたか?
JR東日本(押谷さん)
予想以上に参加者が自律的に行動してくれました。年次ではなく、研修で学ぶスキルのレベルに合わせてチーム編成やリーダーを指定しましたので、役割分担や教え合う関係性ができているように見えました。
カサレアル
今回は4日間という限られた時間の中で、ChatBotを完成させることができたのは、しっかりとした計画や、久保田様、押谷様のあたたかいサポートがあったためと存じます。時間があれば追加したかった要件や、逆にコンパクトな日程だからこそのメリットがありましたらお聞かせください。
JR東日本(押谷さん)
今回は自分たちが思いついたアイデアを形にしましたが、ユーザーヒアリングをして、形作っていくところも含められたら、より実務に近く、より有意義であったとは思っています。ただし、クラウド技術を学んでもらうという意図で実施しましたので、今回のもので初期教育としてはよかったと思っています。
カサレアル
今回のワークショップは、参加者様より高い評価をいただいたものと、実施後のアンケートから感じております。評価されたポイントや、印象的だった点がございましたらお聞かせください。
JR東日本(押谷さん)
インプットだけの研修ではなく、手を動かす体験があったこと、自由度が高かったことが今回の評価の要因であると感じています。また新設されたDICeに関することであり、自身のキャリアに関係する人も多かったので、興味を持って参加いただけたとも思っています。なにより、カサレアルの講師陣に温かく丁寧にサポートいただいたおかげで、参加者が自走できたと感じています。
同僚の方に本ワークショップを薦めたいですか?(10段階評価)
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ハンズオンの時間もしっかりとあり、感覚がつかめた状態で触り始めることができ、なおかつ自分のアイデアを盛り込んで自由に触れるのは知識の習得プロセスとして適していると感じたため。
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クラウドサービスに関わる業務をしておりますが、実際に手を動かして、動作を理解する経験はなかったので、お客さまに提案する立場としては、非常に良い学びだと感じたからです。
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AWSやAPIについて、聞いたことはあるがイメージがわかない人はそれらに対しての理解が深まるから。
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開発の上流工程から下流工程までのすべてが濃縮され、アプリ開発の一生を体感することができたため。
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チャットボットという比較的身近にあるものを開発する中で、各サービスの連携や開発方法などを考えることができる点はとても良いと思った。
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社内にはAWSの知識が少ない社員も多く、よりスムーズな要件定義や仕様決めに繋げるため、是非お勧めしたいと思う。<
カサレアル
ワークショップ参加者へ、今後期待することをお聞かせください。
JR東日本(久保田さん)
IT・デジタル戦略系統(総合職)の社員には生き生きと働き、活躍してほしいため、ぜひキャリアオーナーシップを持っていただきたいです。そうすることで学習意欲も湧いて、アウトプットも高まっていく好循環が生まれると信じています。組織としてはその思いに応えられるように、人材配置や能力開発を中心に環境の整備を加速させていきます。
東日本旅客鉄道株式会社
設立:1987年4月1日
資本金:2,000億円
売上高:2兆7,301億(2024年3月期実績)
経常利益:2,966億(2024年3月期実績)
従業員数:46,051名