
「プロダクトサービス」「クラウドサービス」「プロフェッショナルサービス」の3つの事業で質の高いITサービスを提供する株式会社ユニリタは、デジタル社会でのビジネス貢献と業務効率化や生産性向上を実現するための製品とサービスを提供しています。
ユニリタは人材育成に「プログラマーではなく、高度なエンジニアを育てる」というミッションを掲げ、自律的に動き学びに行くエンジニアを増やす必要があると考えています。
そうしたユニリタとカサレアルで実施した、技術職として配属される新入社員向けの研修についてお話を伺いました。
新入社員研修 担当者


若手社員の増加により、完全内製研修の限界に…
ユニリタはこれまで新入社員研修を全て内製で実施していました。
【クラウドサービス事業本部 新入社員研修の流れ】

上図のうち本部配属後の技術研修を、2020年度からカサレアルで行っています。
内製されていた研修を、外部委託しようと思ったきっかけを伺いました。

まずは、新人研修の外部委託を検討されたきっかけを教えてください。
最初に研修を依頼した2020年度は、イノベーションデザイン室(当時の部署)の半数以上が継続的な教育が必要な3年目以下の若手社員で、必然的に残りのメンバーの中から教育担当をアサインすることとなります。育成に掛ける工数を算出するとかなりの開発工数削減が必要で、「開発チームのベロシティが大きく下がって開発計画を見直さないと進められない!」となり、社員が教育に掛けるコストと外部に委託する費用と効果を整理し、外部研修の活用を上申しました。
また、教育する立場のメンバーから、「教えることはもちろんできるが自分たちは教育のプロフェッショナルではない。教育のプロによる基礎習得をしっかりと行わせることが長期的に考えた場合会社としてもプラスになるのではないか」という意見もありました。


部署内の半数以上が若手になると、たしかに教育が大変そうですね。
今も内製で行われている研修があると思いますが、それはどのように行っているのでしょうか?
配属前の技術職向け研修では2〜3年目の若手社員が作成した教材を使用して、新人と教え合い、フォローしながら問題を解いていくといった、ピアラーニング形式で言語の基礎教育を行っています。
教えることに不慣れな若手が作る教材なので、実務に携わるにはまだ力不足の技術レベルですが、新人とコミュニケーションがとれるのが良いですね。

配属後の部内教育は、AWSのインフラ系については、4年前にメンバーが作成した教育カリキュラムを毎年少しずつ見直したものを用いて基礎を学ばせています。また、百瀬さんが執筆した『Amazon Web Servicesアプリ開発運用入門』を教材にして、AWS上でサービスを開発しデプロイするという一連の流れを体験して学んでもらう研修も行っています。


自製の教材を取り入れている企業はあまり聞いたことがないので、驚きです!
実践的なテキストとニーズに沿ったカリキュラム
最初の接点は、2020年にカサレアルのホームページから、新入社員研修の問い合わせをいただいたことでした。「私達の本部で扱っているプログラミング言語やフレームワークに対応している研修会社を探して、3社と面談しました。」と渡辺さんは言います。

面談された研修会社の中で、カサレアルを選んでくださった理由は何だったのでしょうか?
面談時に、研修内容の詳細とどんなテキストを使って研修が行われるのかを聞き、実際のテキストを参照させていただけるところには事前にテキストの内容を確認させていただきました。会社によっては、全てがオリジナルの教材ではなく市販書籍を使って研修するところや、私達が学ばせたいカリキュラムが揃っていなかったりしました。その中でカサレアルは全て自社でテキストを作られていて、テキストの中身を確認しても内容が実践的かつトレンドも盛り込まれていた。そこが他社と大きく違って、「カサレアルさんが良さそうだね」と選定させてもらいました。

実はカサレアルの講師の方のお名前は、研修の外部委託の話が出る前からネット上で見て知っていました。Qiitaに記事を沢山あげられていましたし、外部のテックイベントに登壇されていましたので。そういった実績の面でも信頼できると感じました。
あとは研修カリキュラムを自由に組めるという点で、他社と比べて私達が扱っている技術と親和性が高く、無駄のない研修をしてもらえるのが大きなメリットだと感じました。
他社だとカリキュラムがセットになっていて、カスタマイズできないことが多く、どうしても無駄になってしまう部分が多かったのです。


カサレアルは定期的にアップデートしたオリジナルテキストと、お客様のご要望に沿った自由なカリキュラム構成が強みなので、その点を感じてもらえて嬉しいです!
定期的な「振り返り日」を入れたカリキュラムスケジュール
こうしてカサレアルは、問い合わせ時にいただいたご要望にお応えできるよう検討を重ね、カリキュラムを提案させていただきました。
≪スキルに関する要望≫
- Vue.jsを利用したクライアントサイド開発のスキル習得
- Spring Bootを利用したサーバサイドJavaのスキル習得
- テスト技法の基本的スキル習得
- Gitリポジトリの操作、管理スキル習得
- データベース(RDB)の基本的スキル習得
- AWSを利用したインフラ構築、運用スキル習得
- コンテナ仮想化技術のスキル習得(Docker)
- DevOps系スキル習得
- アジャイル開発手法習得
要望の中から、1〜5に対応するコースをご提案し、6〜9はユニリタの内製研修で実施されることになりました。
【提案カリキュラム】
対応コース名 | 所要日数 | ご要望 |
---|---|---|
オリエンテーション/システム開発概要 | 1 | - |
Git入門 | 1 | Gitリポジトリの操作、管理スキルの習得 |
データベース基礎 | 2 | データベース(RDB)の基本的なスキル習得 |
初歩から学ぶHTML5/CSS3入門 | 2 | Vue.jsを利用したフロントエンド開発のスキル習得 |
しっかり学ぶモダンJavaScript | 3 | |
Vue.js入門 | 3 | |
Javaプログラミング入門 | 2 | Spring Bootを利用したサーバサイドJavaのスキル習得 |
Javaプログラミング基礎 | 3 | |
JUnitによるテスト入門 | 2 | テスト技法の基本的スキルの習得 |
JPA徹底攻略 | 3 | Spring Bootを利用したサーバサイドJavaのスキル習得 |
基礎からのSpring Boot | 3 | 3 |
≪スケジュール・実施方法に関する要望≫
- リモート開催
- 教材を事前に確認したい
- 定期的に研修成果を確認する仕組み
開催方法はZoomを利用したリモート開催、教材の事前確認については利用テキストを提供し確認していただきました。
定期的な研修成果の確認には、単元ごとに確認テストを実施しました。
【提案スケジュール(2020/11/17~2021/1/7)】


カサレアルからの提案はご要望に沿っていたでしょうか?
はい。自部署に配属された新人にとって、無駄がないカリキュラムでした。

この研修では定期的に振り返り日を設定し、講師不在の中で学習できる時間を作りました。講義内で理解が追いつかなかった部分の復習や、学び足りない部分の理解を更に深めるなど、受講者が自主的に学習を進めました。
スケジュールを私達に合わせて組んでいただき、振り返り日を取らせてもらったのが良かったです。受講した新人同士でお互いの理解度を確認し合い、コードを書くことで未消化部分を消化することができました。また、互いに教えあうことで理解度を高めることができたと考えています。
カサレアルの研修を受けている他社様では振り返り日をとらないことが多いと後から聞いたので、弊社向けに融通を利かせていただきありがたかったです。

テキストを拝見しましたが、学習密度が高い内容になっているので、咀嚼する時間を挟みながら進めるのが良いのだと思います。


新しく学ぶ時は、咀嚼して自分のものにする時間が大事ですよね。
カサレアルとしても細かくご要望をいただいたおかげで、より業務に沿った研修のご提案ができたと思います!
2020年度に引き続き、2021年度もカサレアルが本部配属後の研修を担当しました。2020年度からカリキュラムの変更はありませんでしたが、受講対象者は約2倍に増加しました。カサレアルは受講者増加に際し、漏れなくサポートできるよう、サブ講師を1名追加して対応しました。
受講者 | 講師 | |
---|---|---|
2020年度 | 7名(クラウドサービス事業本部配属新入社員) | 1名 |
2021年度 | 15名(技術職配属全新入社員) | 2名(メイン講師1名、サブ講師1名) |

2021年度、受講対象者を拡大されたのは何か理由があったのでしょうか。
2021年度は最終的に技術の新人全員が受講させてもらいました。でもはじめはそんな計画ではなかったのです。「今年もクラウドサービス事業本部配属の新人を対象に、カサレアルの研修を受けさせたい」という話を上申したところ、「他の事業本部にも声を掛けてみては?」と。
他の事業本部に「ユニリタ向けにカスタマイズしてもらったこのカリキュラムで教育を進めるのです」とカリキュラムを見せながら話しをしたところ「一緒に受けさせたい」と共感を得られ、技術職の新人全員が受講する形になりました。

最後まで意欲高く続けられた研修
カサレアルで提案したコース、スケジュールでの研修が始まりました。
研修実施中は密な連携を心がけ、週に1度のペースで定例ミーティングを行い、カリキュラムの進行状況や受講者の様子などを共有して受講者を見守っていきました。

研修の実施前や実施中に気にかけていた点、不安に感じていた点などはありますか?
主体的に受講者達が参加していたかどうかですね。受け身の姿勢でただ聞いているだけではなく、分からないところは自分から質問しているか、などは気にしていました。

2021年度は受講人数が多く、配属後受講者全員が開発職に就く訳ではないという前提であったため、研修が始まる前はついていけなくなる人が出るのではないかと不安はありました。


実施を終えてみて、いかがだったでしょうか?
今回は講義の見学は行わなかったため、受講態度を直接感じとれませんでしたが、講師の方から「後半に進むにつれて積極性が上がってきた」という報告をいただきました。

理解が遅れ気味になる人もいましたが、手厚くフォローしていただけたこともあり、無事に終えることができよかったです。


ありがとうございます。人数が増えた2021年度はサブ講師を1名追加したので、より手厚くできたのかなと思います。
遅れ気味だったり、スタートラインが周りと比べて後ろだったりする場合、追いつけなくなるとモチベーションや意欲がどんどん下がってしまうと思うのですが、最後まで意欲高く続けられていたのはカサレアルのフォローが良かったのだと感じてします。
私達から特別フォローする必要が無く終えられました。

【2021年度受講者アンケートより一部抜粋】
SQLの一般的な機能の書き方はある程度理解していたが、今回の研修によって知らなかった句を知り、SQL利用の幅が広がった。データベースの概要やメリット、トランザクション機構などを体系的に知ることができて良かったと思う。
テキストが内容を詰め込みすぎず,1つ1つかみ砕いで理解できる速度で進行したため,置いて行かれずに受講できた
知識として知っていることと、実際に動かすとでは理解度がとても異なると感じた。今回の研修で理解したことが直接vue.jsへの理解になり、とても為になる研修だった。
まず、確認テストの問題がとても良い問題だと思いました。理解したと思っている範囲でも、いざ書かれていると間違いに気づきにくいことを再確認しました。講義では、Java特有の記述方法など、基本的な範囲の理解をしっかりと埋めることができ良かったです。知識として知っていることと、実際に動かすとでは理解度がとても異なると感じた。今回の研修で理解したことが直接vue.jsへの理解になり、とても為になる研修だった。
知らない用語がたくさんあり、新しく得ることが多かった。一見分かりにくい記述もあったが、全体の記述や構造として難しいところは特になくスムーズに理解ができた。テストの自動化の記述や役割について学ぶことができ良かったと思う。
複雑な内容だったが仕様について理解することができた。特にリクエストとレスポンス時のJSON・オブジェクト間の流れが理解できたので、とても良かったと思う。
カサレアル担当者からの声(2021年度実施分)
全日程をZoomによるリモート講義で実施しましたが、講義の進行におけるトラブルなどもなく、予定通りの進捗で実施いたしました。
受講者の最終的な理解度については、ディスカッションや演習の様子からもWebアプリケーション開発における基礎知識が身についていることが伺えます。
講義時には、ディスカッションや演習のサポートによって理解が遅れる受講者が出ないよう注意いたしました。また、理解が遅れている受講者については個別対応や講義後の質疑応答で別途フォローを実施しました。
講義によっては講師が入れ替わる体制ではありましたが、内部での情報共有や引き継ぎを行うことで、講義の進行に影響はありませんでした。また、2名体制だったため、質疑応答や演習フォロー、個別サポートなど受講者全体を十分にフォローすることができたと考えます。
ユニリタから見る受講者の様子

研修後の受講者の様子はいかがですか?
技術力という面では充分仕上がっています。
カサレアルの研修を受けていなかった時と比べると、研修後の仕上がり方、完成度、即戦力になる度合いが高いので、非常に助かっています。

渡辺さんはカサレアルでの研修後に実施した、内製研修での様子を教えてくださいました。
カサレアルでの研修を終えた後は内部で2ヶ月間スクラム開発研修を行いました。
目的は2つで、1つはスクラム開発の進め方や振る舞いを理解・体感してもらい、基礎を習得してもらうことです。もう1つは、実際の”モノづくり”を通して、カサレアルで学んだことを自分のスキルとして定着させることです。
先日、スクラム開発研修を終えた受講者に話を聞いたところ、「最初のうちはカサレアルのテキストを確認しながら実装していたけど、後半はテキストなしで進められるようになった」と言っていました。


研修体制が手厚くて、すごいですね!
新人にとって、とてもありがたい取り組みだと思います。
基礎教育をきちんと行っておかないと、普段の開発業務を進めながら上の立場の人達が時間を割いて教えることになります。そうすると後々、工数的に首が絞まることになるので、それであれば集中的に教育した方が良いと考えています。

「高度なエンジニア」を育てる為に
最後に、部門のミッションである「プログラマーではなく、高度なエンジニアを育てる」を達成するため、渡辺さん、百瀬さんが求める人材像と、その様な人材を育てるためにどんな事をしていきたいかをお話いただきました。
言われたことをやるだけではなく、多彩な視点で高度なエンジニアリングができる人を育成したいです。
例えば、色んな技術やスキルを使って提案や改善できる人材です。そのためには主体性を発揮して活躍できる環境が必要だと思っています。
そういった主体性を重んじる環境を作るためには、若手の意見でも良いものであれば、積極的に議論を交わし取り入れるなど、個人の意見を尊重してあげる。そうすると、意見が採用される喜びを感じるようになって、どんどん主体性が発揮できるようになると思っています。

そうですね。自律的に動けるエンジニアになってほしいです。繰り返しにはなりますが、言われたことだけではなく、自身で必要なことを感じ取り自ら多くのことを学んでいくエンジニアを増やしていけたらと考えています。

顧客プロフィール
株式会社ユニリタ
設立:1982年5月
資本金:13億30百万円
売上高:100億61百万円(2021年3月期)※
営業利益:7億57百万円(2021年3月期)※
社員数:635名(2021年3月31日現在)※
※グループ全体
本新入社員研修に関連するサービスはこちら
※本技術研修はカスタマイズされたものであり、日数や内容等、上記サービスから一部変更が生じている場合がございます